2009/03/27

下倉洋之のジュエリー / Ague's Handmade

「物にイノチが宿る」という言葉がありますが、このイノチというのは、その物を作り上げた制作者の「個人的」なイノチの謂いではなく、その制作者を媒体にし、流れ出た、あの惑星的な、根源的なイノチのことではないかと僕は思っております。
「制作する」というのは、甚だ個人的な営為ですが、彼のように、みずからの感動体験、神秘体験から決して眼を逸らそうとしない、みずからの足場が崩れ去るような恐怖を前にしても、決してひるむ事の無い魂は、その制作過程の途上において必ずや超えていかなければならない、あの境界を、眼の前に横たわるボーダーラインを、細々した、この文明が携えるように命じた数多の浅き小ざかしい知恵の類を、かなぐり捨てることによってしか渡れない、そのことを十二分に直覚するがゆえに、かぎりなく未知の遠方に視線をこらし、ぐいぐいと、誰よりも激しく動揺しながら、超えてゆくことによってしか「物にイノチは宿らない」のだと、ひとり気持ちを静に収め、あの惑星的、根源的にイノチに触れようと、そのツールに成ろうと、コウベを垂れ、挑み続けているものなのです。
これは、本来制作者の基本的な凛然とした態度、「倫理」というものですが、どうでもいいような「物や事」ばかりが捏造され、氾濫する現代社会にあって、彼のような制作態度を貫き通そうとする意識は(彼は33歳という「職人」と呼ぶにはまだまだ若々ですが)、誠に稀有に値することではないかと、僕は感じます。

未知に触れて欲しい、と切に想う友人です。



name : Tekkup/杢目金の羽根
material : 銀(sterling silver)& 銅

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