2025/09/26

海沼武史写真展『而今』トークショウ vol.1~vol.2

 


 

自分の展覧会で、誰かを招き、トークショウをするのは初めてのことだった。
  
昔、展覧会期中に、装丁家の故・坂川栄治氏をお呼びし、彼との対談を企画しましたが、タイミングが合わずに流れてしまったことが、今、ふと思い出す。
 
写真家は被写体を必要とします。
対象が無ければ、存在できない。
写真家は、被写体との思いがけない出会いにより、揺さぶられ、シャッター切り、その記録が、一枚の写真として現われます。
けれど、写真家ではない普段の日常生活を送る僕にも、様々な人間との「出会い」があり、時に、強く揺さぶられる瞬間があります。
 
蜂須賀公之、中村明博、内田和男、僕の心を見事なまでに揺さぶってくれた彼らを己の展覧会に招くこと……。
 
シャッターは切られた。
 
僕にとってこのトークショウとは、高尾駒木野庭園という名称を持った舞台、この舞台自体が、インスピレーションの庭であり、もう一つの「写真」なのだと。
 
写真家は、対象(被写体)と共に生きるのです。