彼、中村明博の額装デイレクションについて、僕自身がもっとも感銘するところは、作品に対する、彼のその「接し方」にあります。もちろん、この接し方は、作品に対する彼の理解および解釈といものがベースに生まれるものですが、これは作品それ自体への真摯なまなざし、精緻な審美眼というものが無ければ、かなり乱暴で無作法なものとなります。が、彼の額装デイレクションに触れるたび、彼の作品への、絵画や版画、写真への読み、味わい方などを、「この男は一体どこで、どうやって身に付けたのだろう?」という、不可思議な気分にさせてくれます。
この世には存在しないかも知らない、濃密で深い湖のブルーの源へと連れてゆかれるような、華やかで清清しい感情をいつも僕の内に残すのです。
ある時、彼に「あなたが思う究極の額装とはなんだろう?」と尋ねたことがあります。
「作品を囲うという行為において、実は、究極的に言ってしまえば、紐でもテープでもいいんですよね」と、微笑みながら応えました。
ここに、今回アップされた動画には描ききれなかった、彼の額装に対する思想の核心があります。
つまり、作品という「イノチの現場を囲う」ための結界としての役割、機能を立ち上げようとする額縁・・・。
西洋美術史上で生まれた額縁、額装という発想、ジャンル、それを極東の滋賀県の琵琶湖近くで生まれ落ちたある男が、そのキワキワ、あの普遍的なところまで「額装それ自体」を追いつめようとしているのです。


