海に浮かぶ船をまねた
カモメがそれに気づくように
生きてゆくための口実が
教え込まれた数多の意味が
三千音階の潮風にやられ
途方に暮れ
さすらう者たちの胸から
出て行った
逃げ往く
多くの祈りや涙の棺どもの来歴を
忘れ去る
この夜に乗り
声をまね
目的もない波紋の手招き
カモメがそれに気づくようにと
人は
人であることを
速やかに 終わらせた
ようやく
晴れ渡った空の向こうにひろがる
中心のない
無限のヒカリが明滅する闇の響きに感応し
コトバをもたない星たちの生成消滅を
その何億ものヒカリのドラマが
垂直に
誰の身体に突き刺さる
誰かの身体に突き刺さる
水平に
海に浮かぶ船をまねて
カモメがそれに気づくようにと
恒星の微笑みが
銀河の自在さが
遂に僕のがさついた欲望を奪い去ったのだ
記憶のざわめきも消され
震える最後の“わたくし”の死を見届けながら
<海>が見える場所まで
あと僅か・・・
善という切ないコトバの連なりが
悪と重なるようにして
もだえあうこの国では
正義と不義の顔つきの区別もつかぬ
虚無と希望の歌声が響き合うこの場所で
惑星の激しい息づかいと共に
人は はじめて
この世界の<自然> その心づくし
「生」そのものと化す。



