2009/10/17

クモノカミワザ / Camp Master


或る時、銀細工職人Ague(本名:下倉洋之)が近くの軒下に張られていた見事な蜘蛛の巣を指差して、「ほら、これ凄いでしょ・・・」と、熱っぽく語りはじめた。
普段は、どちらかと言えば無口、寡黙な男が、時に、何かが弾けてしまった様に饒舌に、その大きな丸い濃い瞳の奥を、まるで燻し銀のような重厚な光を煌かせ、爛々と、語りだすときは、聞き手はとりあえずその気持ちを抑え、聞き入らなければならない。
いつもは、たえず僕の聞き役に回っている、というか回らされているちょっぴり不運な男が、そう、或る時、蜘蛛の巣、その糸の材質の類稀な強度について、僕に熱弁をふるってくれたのだ。
・・・以来、蜘蛛の巣を見るたびごとに、彼のコトバが僕の内で渦を巻くようになった。

そして下記の写真は、彼の手仕事です。これ、実はペンダントなんですよ。

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