2024/08/21

写真集のメイキングレポート④

写真集のテーマに沿って写真を選別した後の工程は、その厳選された写真の組み合わせとページ順を決めてゆく作業に入ります。ここがもっとも気を使うところです。
見開きで、左右の写真をどんな組み合わせにするのか。2つの写像が響き合い、ちょっと不思議な効果がもたらされるからです。物理的な視覚を超えた、違う感覚への開示にも繋がるような気もします。それはたぶん写真集と言う形態が持ち得る「行間」の意識的な構築なのです。
もちろん左右の写真を無造作に並べ、ばんばんページを展開させるという偶然性を重んじた見せ方もあるし、また、私的なストーリーを紡いだドキュメント色の強い構成の仕方もあります。コンセプチュアルアートのようなテイスト、無作為性を徹底して商品カタログに近い見せ方もあります。
しかし今回は、その全てをちょっとづつ網羅しながら、そのどれにも収まらない響きを放つ写真集になればと思っています。



2024/08/19

写真集のメイキングレポート③

「美」とは何だろう?
「美」とは、何処にあるのか?

外界のあるモノと、視覚や聴覚、触覚や味覚を通して出会い、なぜ美しさや歓びを感じ、その際一瞬にしてこの身体のことを忘れてしまうのか。
その時、何が起こっているのか?

「美」は、外なる対象を契機にして、心という広大な舞台上で起こる。
だが「美」を感じる、体験するとは、心の舞台上に意識の光、スポットライトが当たっている時だけ。
もちろん「美しい」と感じる対象には、時代や環境により後天的に刷り込まれ、教育されたものも多分にあるが、そんな移りゆく美しさなど放っておけば良い。

そして「美」は、どこからやって来るのだろう。一体誰からの贈り物なのか。そして意識とは? 

瞬間即永遠という言葉はよく聞く。それは現在の中に過去も未来もあると言う覚者の開示だが、「美」とは、たぶんこの瞬間即永遠への誘いであり、過去からも、未来からも、そして死や身体からも自由である、この意識の向こう側の世界を無意識裡にチラッと思い起こさせてくれる贈り物なのかも知れない。

美を感じる瞬間、人はその美的体験の只中で、実は「あなたは美しい」というこの世の果ての声を聞いている。

そんな写真集になれば、と。

 


 

2024/08/17

写真集のメイキングレポート②

 


 ~写真集の編集プロセス~
まずテーマを決めます。と言っても、これは2ヶ月ほど前、写真集の構想が突如僕の内で閃いたその瞬間に決まってました。

1冊目は横位置だけの風景写真。
タイトルは『廻向』。テーマは〈移動〉もしくは〈この世の旅の終わり〉。

2冊目は縦位置と正方形、ブローニーの写真だけで纏めること。
テーマは〈美と光〉。タイトルは『奇蹟』。ふつーは「奇跡」跡の方を使いますが「蹟」。これは若い頃に熟読した中上健次の小説タイトルがヒント。サブタイトルとし「Lumière(リュミエール)」フランス語で光の意。そもそも写真の始まりは1825年にニセフォール・ニエプスが成し遂げたもので、密か彼に敬意を表して。

横位置の写真と縦位置、そして正方形の写真とではそれぞれ趣きや視覚的な印象が変わり、これは見る側の心にまで作用します。

写真集のテーマ、主題をタイトルにより明確にしておくことの利点は、その言葉の標識によって脇見への誘惑が抑制されるから。
もちろん写真集のテーマ、主題とは、そもそも僕の生のテーマなので、すでに撮影された写真の中に含まれていますが、膨大な写真の中から写真集の主題と的確に響き合う写真のみをグイグイ選別する助けとなってくれます。

写真を撮り出してまだ間もない頃に、僕が影響を受けた写真家は皆、被写体との出会いを求め、ひたすらに歩き続けた散歩の達人たち。僕もそれを真似、気がつけばそれが自分の主の撮影スタイルになっていました。
そして30年以上撮り続けて、その果ての果て、そこで出会ったモノ、そこで感じたこと、さらに教えてもらったこと、この2冊の写真集には、初期中期の頃の写真は一切出てきません。15年ほど前から現在に至るまでのこの15年間に撮られた写真だけで纏めます。


2024.8.17

 

 

 

 

 

写真集のメイキングレポート①

 今朝は何やら頭の中で「♪時を超えて君を愛せるか?本当に君を守れるか?」という小田和正の歌声がリフレーンしている。

時を超えて君を愛せるか?

真実の愛とか、永遠の愛とか、言葉で書くのも言うのも簡単だけれど、じゃあ、その真実の、永遠の愛とやらに遭遇してしまい、それが実存していることを知ってしまったらどうなる?

この知、この愛との出会いはたぶん凄まじい衝撃で、もしそれを体験したなら、今までの人間種、時間と空間を必要とし、またその奇怪な法則に大いに縛られたホモ・サピエンスではもういられなくなるだろう。

小田さんの『たしかなこと』という歌が引き金となり、今朝は、台風の到来と共に、そんなことを考えていた。

2024.8.16

 

 

2023/05/13

海沼武史写真作品展 / Takeshi Kainuma Exhibition 2023












 

 

 

海沼武史写真作品展

『Presence  ~高キ尾ノ国~ 』

期間:2023年6月19日(月)〜7月10日(月)
時間:9時30分〜17時00分
場所:高尾駒木野庭園
住所:東京都八王子市裏高尾町268-1
TEL :042-663-3611 

共催:高尾駒木野庭園指定管理者・駒木野庭園アーツ