2012/10/06

大地の夢 / family ground


たぶん幼少の頃に見た夢のせいだろう。
ひとつの光景が
赤いライトが点滅するフィールドで
まだ 小さかったぼくの足元に拡がる楽園を 
奪い去っていった。
この瞳や心と呼ばれている“何か”
透明な窓ガラスが
やがてくすみはじめるように...

悲しんでいたのか
そこで我を失ってしまったのだろう
待ち受ける“死”を避けながら
長い間 濁った眼差しでこの世界に触れ
いくら掬い上げても 掬いきれない星空の奇跡を
この地を這うように もう一度
失ったものを取り返そうと 凍りつく
すべて白く 凍った大地の夢に
そっと近づいていった。

「地に足をつけるってね、天に足をつけることになるんだよ」
と、何かが囁いていた。