2011/06/22

額装デイレクター・中村明博 / Akihiro Nakamura (frame director)



彼、中村明博の額装デイレクションについて、僕自身がもっとも感銘するところは、作品に対する、彼のその「接し方」にあります。もちろん、この接し方は、作品に対する彼の理解および解釈といものがベースに生まれるものですが、これは作品それ自体への真摯なまなざし、精緻な審美眼というものが無ければ、かなり乱暴で無作法なものとなります。が、彼の額装デイレクションに触れるたび、彼の作品への、絵画や版画、写真への読み、味わい方などを、「この男は一体どこで、どうやって身に付けたのだろう?」という、不可思議な気分に落としてくれます。この世に存在しないだろう濃密で深い湖のブルーの源まで連れていかれるような、華やかで清清しい感情をいつも僕の内に残してくれます。
ある時、彼に「あなたが思う究極の額装とはなんだろう?」と尋ねたことがあります。
「作品を囲うという行為において、実は、究極的に言ってしまえば、紐でもテープでもいいんですよね」と微笑みながら応えてくれた。
ここに、今回アップされた動画には描ききれなかった、彼の額装に対する思想の核心があります。
つまり、作品という「イノチの現場を囲う」ための結界としての役割、機能を立ち上げようとする額縁・・・。
西洋美術史上で生み落とされた額縁、額装というジャンル、これを、東洋の滋賀県の琵琶湖近くで生まれ落ちたある男が、その際際、あの普遍的な処まで「額装それ自体」を、追いつめようとしているのです。

2011/06/12

「海沼武史X中村明博」展・予告 / Takeshi Kainuma X Akihiro Nakamura Exhibition (preview)



2011.06.03 fri - 06.28 tue
海沼武史 X 中村明博 展  『breathing -吐息ノ艶ヲ愛デル-』

時間が流れる、風を感じる。わたしも確かにそこにいる。  江頭良年(舞台美術家)


もうすでに開催中の展覧会ですから、“予告”というのも変ですが、、、。
やはり中村明博との共作品は、複写や動画で伝えるのは困難であると、あらためて認識させてくれる、実物を見ていただくしか無い、という動画となりましたが、会場にお越しになれない方々のために、すこしだけ、その模様をお伝えさせていただきます。


film and music by Takeshi Kainuma and Riwkakant

2011/06/01

海沼武史DVD映像作品集 / do nothing, do all

海沼武史DVD映像作品集 
『breahing -吐息ノ艶ヲ愛デル-』


今月の3日(金)から開催される「海沼武史x中村明博 展」を記念して・・・、いえ、密か、節目であると感じている僕は、額装デイレクター・中村明博とのコラボレーション作品展『breathing -吐息ノ艶ヲ愛デル-』とはまた異なるベクトルをもった、角度からの吐息、breathingを、一枚のDVDに込め、発表することに致しました。
一枚の停止画、時間や動きをとめてしまう事によって時間の無限性と空間の艶やかなる“奥行き”を開示させようとする“写真”ではなく、動く映像、時間に寄り添いながら、あまりにも説明的で、唯物論的な動きのみをなぞる事しか叶わぬ動画・・・、もし、僕の内で、言葉になることを拒みつづけるメッセージが在るとしたら、写真と動画、視覚的には、網膜レベルでは、まったく異質の表現形式と効果、作法をもつ二つのジャンル、しかしその裏面には、実は唯ひとつのことしか描かれていないことを、鋭敏なる鑑賞者である皆様方には、すぐさま知覚できるだろうことを期待し、数多の現象の波間にそっと提示させていただきます。



すべての見えるものは、見えないものにさわっている
聞こえるものは、聞こえないものにさわっている
感じられるものは、感じられないものにさわっている
ノヴァーリス(Novalis)



定価 3.000円 (税込)
オーダーは riwkakant@yahoo.co.jp もしくは展覧会場にて。