2010/11/30

あたたかな死


この歳になれば、自身の死について、ふと思うことはある。
今夜、夕食前に、そんなイメージがわき起こった。
目頭が熱くなったのはなぜだろう?
死は、誰にでもやって来る、とても静かで、平和な出来事のはずなのに・・・。
僕は思った。
「そうだな、死に場所は、・・・できれば外がいいな。」
明るい初夏の昼下がり、新宿の代々木公園のような、グリーンの絨毯がまばらに広がる場所が良いね。地べた座り、寄りかかるには丁度素敵なぐらいの樹の元で。
僕はそこに凭れかかり、静かに息を引き取れたらサイコーだね。
愛するカミさんが傍に居なくてもいい。僕は誰にも見取られたくないのだ。
甘い、そよ風を感じながら、無邪気にはしゃぐ小鳥たちの意味のない生の、天から降下する響きを受けて、もう最後の呼吸を楽しんでさ、、、、向こう側が見える、遠くが見える所がイイね。
僕はただ、ただ独り、消えるように、静かに深い眠りに就く。

2010/11/22

伊東由里の挑戦 / Yuri Ito

drawing : Akira Ito 伊東晃


昨年の十一月、舞踊家・伊東由里さんから「第30回選抜新人舞踊公演にて新人賞を受賞しました」というメールをいただき、僕は「当然といえば当然だと思いますよ。ようやくあなたのダンス表現の真摯さが“届いた”っ感じかな」などという、ほんとエラソーですね、僕の言葉はいつも・・・。でも、正直、彼女のソロダンスは一度しか見ていませんが、彼女の踊り、そのパッションの質が、僕には非常に心地よかったし、他の若手ダンサーの表現と比べ、現代の表現者が陥りがちな、自己愛から来る自虐性への“耽溺”がすぱっと切れていて、硬質で、純度の高い魂、可能性を予感していましたからね、伊東由里さんへの言葉に嘘はなかった。

そして今年の七月の終わり、なにを思いついたのか、一度しか面識のない、携帯の番号も知らぬ、ましてメル友でもない伊東由里さんへ、突如「PVでも撮りませんか?」とメールを出していた。

そのPVのあらましは、このブログにもアップしましたので、皆さんはもうご覧になっているかと思いますが、つい三日前の十一月二十日(土)、彼女は「第25回神奈川県芸術舞踊祭ヨコハマ・コンペティション・モダンシニア部門」で、作品『JIKUU ー時空- 』により、第一位最優秀賞、並びに横浜市長賞をいただいたそうな。

確実に進んでいるなあ。
でもね、ちょっとグサッと来ること、言いたい事はちょっぴりあるんですがね、今回は書かずにいまーす。なぜなら、彼女は、僕があえて書かずにいる事を、すでにキャッチしてますから、たぶん。


p.s.
上記のドローイングは、由里さんの弟・伊東晃さんが描いた「舞踊家・伊東由里」です。ゆたかな才能を感じさせてくれる確かな絵ですね。

2010/11/21

宇多田ヒカル讃 / Hikaru Utada


宇多田ヒカル - Goodbye Happiness

これまで、このブログと辛抱強く付き合ってくださった皆さんからすれば、今回の動画チョイスはやや意外に感じるかもしれませんが、何を隠そう、僕は宇多田ヒカルという音楽家をそのデビュー当時から注目していたのでした。

宇多田ヒカルさん、ボーカリストとしてはさほど恵まれた喉、歌唱力は与えられませんでしたけれど、「音楽家」として、トータルにその存在の有り様に接近してみれば、その歩みを追いかけてみれば、ほんとすごい才能の持ち主であることを感覚することができます。

たとえば、Perfumeなどはね、そもそも多くの広告系プロフェッショナルによって加工され、吟味、捏造されたイメージの集合体、商品に過ぎませんから、僕はマジに聴こうとは思わないし、なんらこちら側を啓発するものが無いので興味のわき様もありませんが、宇多田ヒカルさんのこれまでの音楽家としての歩み、その実験精神は、なんだろう、とにかく「粋」なんだよなあ。美しいんだ。もちろん全米デビューにおけるあの日和見主義はちょっと、「またかあ」って気がしましたけど、あれはたぶん周りにいたスタッフ、デレクターのアドバイスの欠如ですね。

ポップスであるとか、アバンギャルドだとか、土着派?都会派?現代音楽、少数民族音楽、コンピューターミュージック等々と、僕は音楽の周りに付与された「イメージ」、ご都合主義的なジャンル区分ではその輝きの、響きの総体の内側に入り込み、耳を澄ましたりはしませんので、聴かないので、ちょっとマニアックな音楽を聴いて知ったかぶり、通を気取っている方々には、ぜひ一度、宇多田ヒカルさんの真摯さと対面、マジに触れていただく機会になればと、すこしご紹介させていただきました。

謙虚になりますよ。あるジャンル、職業におけるプロフェッショナルとは、その姿とは、立ち位置とは、マナザシとは、一体どうあるべきなのか、どういうことなのか、彼女は、慎ましくも、そっと教えてくれるのです。

『人間活動』宣言? 
僕ら極貧系の表現者からすれば、ずいぶん暢気な事が言える身分だなあ、羨ましい境遇だなウンウンですが、宇多田ヒカルはその与えられた能力を十二分に、それも短期間で、「売れっ子」であるという凄まじいプレッシャーの内、なんら動じる事なく、淡々と、矢継ぎ早に「CD」というカタチに注ぎ込んで来た人間だから、そのケツノマクリ型も潔い事潔い事、お見事です、ボーダレスチルドレンさん!

2010/11/10

プリュスアートフェア / Tokyo Contemporary Art Fair


この度「+Plus Tokyo Contemporary Art Fair」に出展することになりました。
エモン・フォトギャラリーから、飛田英夫、尾仲浩二、海沼武史の3名が作品を展示致します。
作品集の販売も行うそうです。皆様ぜひ足をお運びください。

プリュス トウキョウコンテンポラリーアートフェア
2010年11月19日(金)-11月21日(日)
東美アートフォーラム(東京美術倶楽部)
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