2025/01/30

空気としての音楽 the Aerial Music

 

ウィキペディアでは、アンビエント・ミュージック(環境音楽)について「このジャンルは、シンセサイザーなどの新しい楽器が広く市場に導入された1960年代から1970年代にかけて生まれた」とあります。

さらに「伝統的な音楽の構成やリズムよりも音色や雰囲気を重視した音楽のジャンルである。正味の構成、ビート、構造化されたメロディを持たないこともある」。

なるほど。

グーグルでは、「対峙して聴く音楽とは異なり、場と一体化した音楽空間に身を置くという音楽」。対峙して聴く音楽、通常の音楽鑑賞、芸術鑑賞とは対峙してこそ得られる体験、それが醍醐味と言うものですが、これは詩でも絵画でも芸術作品全般に言えることで、鑑賞者の基本的な態度でしょう。内観や思索も、自分の心や考え、感情に対峙することなので。

「環境音楽は、集中して聴かせるというよりも、むしろその場に漂う空気のように存在することを目的としています」ともある。

たとえば、自然の中に分け入り、そこで耳に入って来る川のせせらぎや小鳥たちのさえずり、風が吹けば樹々たちや葉っぱが触れ合う様々の音色……。

「聴く」のではなく、「訪れる」音に気づく、という状態。

聴覚を通じて聴覚ならざらぬ、そこに心が関与することによって始めて聞こえて来る、見えて来るもの。


テープ速度を遅くしたり、または自動生成による音楽やアルゴリズム作曲法、シンセサイザーやコンピュータの台頭によって、音楽の作り方、作曲法の選択肢は限りなく広がり、これに伴い19世紀には全く耳にすることの無かったサウンドを私たちは手にしました。

しかし、私たちはひとつである心に気づいたのだろうか。

 


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