2012/05/18

<海>が見える場所まで / the Oceans

海に浮かぶ船をまねた
カモメがそれに気づくように

生きてゆくための口実が
教え込まれた数多の意味が
三千音階の潮風にやられ
途方に暮れ
さすらう者たちの胸から
出て行った
逃げ往く
多くの祈りや涙の棺どもの来歴を
忘れ去る
この夜に乗り
声をまね
目的もない波紋の手招き
カモメがそれに気づくようにと
人は
人であることを
速やかに 終わらせた

ようやく
晴れ渡った空の向こうにひろがる
中心のない
無限のヒカリが明滅する闇の響きに感応し
コトバをもたない星たちの生成消滅を
その何億ものヒカリのドラマが
垂直に
誰の身体に突き刺さる
誰かの身体に突き刺さる
水平に
海に浮かぶ船をまねて
カモメがそれに気づくようにと
恒星の微笑みが
銀河の自在さが
遂に僕のがさついた欲望を奪い去ったのだ
記憶のざわめきも消され
震える最後の“わたくし”の死を見届けながら
<海>が見える場所まで 
あと僅か・・・

善という切ないコトバの連なりが
悪と重なるようにして
もだえあうこの国では
正義と不義の顔つきの区別もつかぬ
虚無と希望の歌声が響き合うこの場所で
惑星の激しい息づかいと共に
人は はじめて
この世界の<自然> その心づくし
「生」そのものと化す。

 

 

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