お蔭様で、渋谷東急BunkamuraB1 『NADiff modern・ナディッフ モダン』にて絶賛発売中の、床絵美・千葉伸彦・リウカカント・海沼武史のCDは、ご好評につき、年内12月31日まで延期販売されることになりました。
そして、同館『ザ・ミュージアム』の方では、「アンドリュー・ワイエス/創造への道程」展が、12月23日(日)まで開催されております。
お近くまで御越しの際は、ぜひぜひお立ち寄りください。
*ワイエスは真摯な作家です。
通説では、アメリカの原風景のようなものをモチーフにした、平凡な田舎にて誰もが眼にするであろう風景、「何でもない、さり気ないシーン」を描いた作家であると、認知されております。
彼が描いた作品、その画面から発散される「厳しさ」、「センス」、「緻密さ」・・・等々は、昨今のぺらぺら現代アートや、観念を張り巡らせることが今だカッコイイことだと勘違いしている絵が描けないことへの眼くらまし、マルセル・デユシャンの亡霊やトリックに誑かされている現代の作家らの仕事と比べてみますと、かなり刺激に満ちた、「本来」の視覚体験を、観る者に与えてくれます。ですが、残念なことに、ぼくがアメリカに在住していた頃に、もっとも身に沁みた「アメリカの風景」とは、ワイエスのそれではなく、あのアメリカ先住民が聖地とした、場所、「現場」にこそ在ったのです。(って、つまらぬ余談ですが・・・)
そして漠然と思うに、画家アンドリュー・ワイエスの悲劇とは、彼がアメリカというアングロサクソンにとっては歴史の浅い場所で、生まれ、「アメリカ人」として生きざるを得なかった処にあったのではないかと思っています。彼が、もし、その画業の舞台をイギリスにおいて展開できたなら、たぶんターナー(Joseph Mallord William Turner, 1775年4月23日 - 1851年12月19日)級の評価を、間違いなく手にし得た事でしょう。
ワイエスがモチーフにした数多のさり気ないアメリカの古き良き時代(?)の風景、彼はそこに自身の存在を丸ごと貫入することができず、ある種のよそよそしさを感じていたような気がいたします。たとえば、ピカソは、彼自身が選んだ画題、またはモデルについて、全くぶれていない事を確認することが出来ます。(余談でした。)
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