2009/09/20

『私の額装』中村明博について / Akihiro Nakamura

額装デイレクターである中村明博については、以前、このブログでも触れましたが、最近、彼は『私の額装』というタイトルにより、彼自身の額装についての考えを述べました。興味のある方はどうぞこちらをクリックしてみてください。
“額装”をデイレクションするという仕事、その営みについて、ここまで指向・思考した人は、(大袈裟ですが、)たぶんあまり居ない事でしょう。

たとえば、西洋の世界、西洋美術の歴史において、額装についてのアイデアは、所詮は作品の見栄をよくするためだけの「装飾」の域を出れなかったのではないでしょうか。作品を囲う、作品のための「衣装」という卑小な価値しか見出してこなかったように思われます。
むろん、『私の額装』における中村明博の文章は、額装という非常にマイナーな分野について書かれていますから、興味のない方、もしくはアートと聞いて思わず後ずさりしてしまうような方にとっては眠くなるような文章でしょう。
ですが、アート、「芸術」というのは、別に恐れるほど難解な怪物では無く、かなり「面白い!(ゾクゾク…)」するジャンルのひとつです。
本来、彼の文章を読むより、直に彼の仕事、額装に触れていただくのが一番良いのですが…。やがてそんな機会もあるかと思います。
写真家である僕が感じる彼、中村明博の仕事は美しい、たいへん見事なものです。透明な美感を共有、感受しうる貴重な方だと直覚しています。


(p.s.)
額装デイレクターとして、彼は「当たり前のこと」を書いたまでだ、と言えばまさしくそうですが、「当たり前のこと」とは、案外、人間存在の根底は討ち貫くほどの威力があります。実際、人はこれを真っ直ぐに「見る」ことを厭い、無意識裡に避けて通ろうとします。ですが「当たり前のこと」とは、非常に静かですが、善悪を超えた、パワフルな覚醒体験を呼び込もうとするものなのです。

 

 

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