昨日、たまたまヤフー・ジャパンのトピックスに<米ベテラン歌手ボブ・ディランの最新アルバムが、今週の英アルバムチャートで初登場1位を飾った。ディランが同チャートで1位になるのは約40年ぶり。今回1位となったのは33枚目のスタジオアルバム「Together Through Life(原題)」>という記事を見かけ、思わず「ほー!」と嬉しくなり、「お!全英チャートで1位になるということは、すくなくとも20代30代のディランを知らない若人たちにも彼の歌が届いた、響いたっつーことではないかっ!」などと、早速iTunessストアを立ち上げ、「試聴、試聴・・・」。
だが、むかし(?)のディランを聴いてきたぼくの耳に、彼のニューアルバムはさほど魅力のあるものとして響いてはこなかった。
「衰退したなあ」というのが、正直な感想だった。
ボブ・ディラン(Bob Dylan, 1941年5月24日 - )、アメリカのシンガーソングライター。
彼の最盛期は、最盛期なんて言葉はちょっと失礼な言い方だけれど、ぼくは彼の60年~70年代の歌に「やられてしまった」人間のひとりで、これはもう30年以上前のお話ですが、当時、ぼくはディランとルー・リードにもろに影響された歌をつくり歌っていました。なんだか懐かしさのあまり、今日はしとしと雨の降る湿っぽい一日でしたが、むかし聴いたディランの歌をネット上でさらさら聴いていました。
「A Hard Rain's A-Gonna Fall」
「Mr. Tambourine Man」
「Like A Rolling Stone」
「All Along The Watchtower」
「Hurricane」
「Forever Young」
ボブ・ディランのHP、ここに飛べば彼のほとんどの歌を耳にすることができます。
音楽が好き、という方々、または音楽ツウおよび音楽にうるさいと自負している年若い方々には、ぜひ聴いていただきたいものです。
XジャパンだビーズだミスチルだドラゴンアッシュだJポップだとか、ふーん、そんなに良いかなあ・・・。
ちなみに、ディランの代表作のひとつに「風に吹かれて / Blowin' In The Wind」という楽曲があります。
こんなことを説明しきゃいけないほど、ぼくは阿呆で、ウヴですが、この歌声は、声の表情、トーンと詩の内容が、彼自身の当時の意識というか「存在の位置」、この三つがぴったりと重なり合い、どこにもウソ偽りがない貴重なテイクなんであります。(最近の流行歌、ロック、ポップ、ジャズ、すべてはほぼ気分ソングであり、能天気、勘違いです。)
ボブ・ディラン、彼は筋金入りの厭世家ですが、その奥底には、途轍もない、苦し紛れの、ぎしぎしとうなる、壊れかけた「希い」が隠しこまれています。
ラブだ、ピースだ、エコだ、ガンシャ!だなんて、この時代に軽々しく言える奴は、彼の、あの澄んだ、狼のような眼差し、その「視」をモロに受けたら、たぶん失語症に陥るかもしれないね。いや、一度、失語症にもなれば、本物の唄が見える、歌えるようになるのかも知れません。
なぜなら、「歌」とは、本来、言葉の限界点、無力感、厭世観の極点において、産まれるものだからです。
The answer, my friend, is blowin' in the wind,
The answer is blowin' in the wind.
友よ、答えは風の中で揺れている
真実は、風の中で揺れている・・・。
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