2010/08/13

「海沼武史 x 中村明博」展 / Takeshi Kainuma x Akihiro Nakamura



 この人の写真には、いつも溶け込んだ静けさが薫る。   坂川栄治(装丁家)



「至る所 otherness 」
- 写真家 海沼武史と額装デイレクター 中村明博のコラボレーション展 -


期間:2010年9月4日(土)~10月31日(日)
場所:喫茶おとくら
住所:〒522-0201滋賀県彦根市高宮町1121
時間:土・日のみ営業 10:00~17:00
交通:JR彦根駅にて近江鉄道乗り換え高宮駅下車徒歩10分
またはJR南彦根駅下車徒歩20分
連絡先:otokura.kissa@gmail.com

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ある写真関係の知人が、「海沼武史も、ついに写真だけではもたなくなったから額装にこだわったか。そんな風に思われやしないか」と、そっと忠告してくれた。
なるほど、世の中にはひねくれたモノの見方をする人もいるから、今回の展覧会について、そんな風に皮相的にとらえる方々もいることだろう。
が、そう思われても仕方ないほど、確かに、額装デイレクター・中村明博の仕事はたいへん美しいものである。

具体的な額装について、僕はいつも彼に写真を渡すだけで“完全おまかせ”だが、これは当然のことで、才能ある、際立った美感をもつ人に、とやかく「こうしてほしい、ああしてほしい」などと要求するものではない。
こちら側のセンスを相手に押しつける、もしくは指示してしまうのは、勿体なさ過ぎるというもの。
たぶん、クリエイター、アーチストを名乗る者たちは、じぶんの美意識について、実のところ深いところでは自信が持ちづらい故に(?)、つまり聡明に客観視することの難しさ、他人が開く秘めやかなる美意識に気づき、これを愉しみつつ、自身の仕事に取り込んで往くスペース、余裕がもてないのだろう。(あ!僕は誰にでも“完全おまかせ”をする訳ではありません)。

それで、この「額装デイレクター」という名称、「コピーライター」という職業がまだ存在していなかった50年前(?)と同様、額職人という職種はありましたが、僕が中村の仕事を確認し、咄嗟に思いついたことで、これについてはこのブログでも触れましたが、なにやら胡散臭く感じる方々もいらっしゃることでしょう。でも、これも覚悟の上、ゆえ、実際は、「とにかく実物を見てください」としか言えないのです。

ただ、僕は、有難いことに、目映いばかりの仕事をする人と出会ってしまった。そして写真家のサガが獣のように躍動し、思わず、その存在に見合った「ライト」を浴びせたくなった。ただそれだけのことです。
江戸の初期、この日本に俵屋宗達本阿弥光悦という本物のクリエイターがいましたが、かれらの仕事、その共作をご覧になったことがありますか?

<共作の夢>---。
おこがましくも中村明博と僕は、そんな夢を、21世紀という表現者にとってはすこぶる虚弱な時代に、ただひたすら、見つめようとしているのです。

もしお時間の都合よろしければ、一度、その眼で確かめに来てくだされば、光栄に存じます。

 

 

2 件のコメント:

いっけやん さんのコメント...

この前はお疲れ様でした。

中村君とも久しぶりに会い頑張っている姿をみて僕が言うのもなんですが安心しました。

海沼さんとも少しですがお話できて良かったです。

写真の持っている魅力に額縁と言う更なる魅力が合体してひとつの作品になり自分がこんなにキレイと思うとは思いませんでした。

花も主役にはなれない場合がほとんどですが
その場にあるだけで何かホッとして上品に見えるという素敵な脇役なのですが展示してあった作品も素敵な脇役なのではないかと勝手に思いました。

又機会があればお会いできたらと思います。
ありがとうございました。
 
有限会社山本花店 代表取締役 山本一慶

海沼武史 / Takeshi Kainuma さんのコメント...

いえいえ、こちらこそ、わざわざ足を運んで下さり、有り難うございました。

なかなか、作品を飾るには難易度の高いスペースでしたが、のち、中村店長とも話し合い、「まだまだ。勉強することばかりだねえ」と。

とにかく、中村をよろしく、彼の挑戦を支えてやってくださいと、僕が言うのも変ですが、なかなか彼のような美的直感、能力をもった人は少ないので・・・。

でもね、お互い、みな、10代の頃は体育会系、スポーツ大好き少年だったという共通項がありますが、不思議なもので、いっけやんは「花」を扱い、わたしらは「芸」の道をゆき。
10代の自分らが今の自分らの姿を見たら、たぶん恥ずかしくなってしまうかも知れませんが、この「恥ずかしいかも」という感覚が、今、こういった業種に携わる者にとっては、とても大切な感情なんじゃないかなと思います。

では、機会がなくても、また会いましょう。(ちょっと此処からは遠いんだけどね)。

海沼武史 拝