2010/09/08

やがてよるもひるも / closeyoureyes

やがてよるもひるも  (July/28/04)

やがてよるもひるもめをさますだろう
自己滅却という
ことばのウラを覗くまえ
草原が
ほら 全身に 
拡がりはじめた

やがてよるもひるもめをさますだろう
自己認識という
ことばのハリを消し去るまえに
朝顔が
ほら全身に
咲きはじめた

気をもんで
気をもんで
気を枯らす
医者が繁盛する時代はおかし

沖縄の民は
気の振れた者を丁重にあつかう
都会では
気の振れた者をクスリ漬けにする
病名が増え続けるこの世界
健全な人間は同情に値しない

のびちぢみのびちぢみ
ひきこもるとくべつなりゆうもなしにひきこもる
のびちぢみのみくだし
ろうじんまでもがひきこもり
ひとめをきにしてひきこもる

すでに部屋の中は世界
世界はもはや部屋の中
だれが満月に触れようとするのか
手を延ばせば
届くかもしれないというのに

ああ だれか三千年ぶんの雨を
はやく三千年ぶんの愛を

百の姓を名乗っていた農民が
スターだった時代は疾うに過ぎた
道ゆくエンジェルたちはポッチャン便所を知らぬ
芸のない成金にはどうか無人島三年ひとり暮らしを
テレビのない明るい生活
満点の星空とふるえるような闇の中で
換金できない至上のヒカリは
今もただ黙ってそこに在るというのに
だから三千年ぶんの愛を
はやく三千年ぶんの雨を
ここに降らせよ

巧妙なブレイン・ウオッシュ
顔のない神経風の悪戯か
気をもんで
気をもみすぎて気を枯らす
おおジーザス煙色の御人
あての無いココロたちの内ではやく目覚めよ

こどもをあいせなくなった親たちの集い
親たちをみとめられなくなったこどもたちの黄昏
部屋の外に住む
動植物たちがみたら さぞかしおっ魂消ることだろう

三千年ぶんの愛を

お肌の曲がり角
地球にも幾多の曲がり角はあった
地球というボデイーのお臍は
ギザのピラミッド とは?
この世の片隅で起きた馬小屋の奇跡 
それは美しい物語
菩提樹の下では柔和な笑みがうまれ銀河もふるえた
世界史の裏通りでは
数多の見知らぬ覚者たちの歌声が 音楽が
今もなお響きつづけている
数千の御ワザと数十億のアヤマチ
無意識の泥濘は視界を被い
ろくでもない思考はココロを惑わす
<存在>にはあの楽園の記憶
午睡の光景 ことばによっては囲いきれぬヒカリが
びっしりと詰め込まれている
齧られた真紅の林檎
だれの仕業か
善と悪が真っ二つに割れ
善悪を知り
善悪の愉悦に酔い
混乱し 追い込まれ 
ゆえ彼岸へと渡り
宗教が生まれ
此岸へ返り 芸術がうまれ
どこに置き忘れたのか
こじんてきな
すいたほれたはもういいから
はやく
はやく三千年ぶんの愛を
終わるまえに
ここが終わるまえに
まぼろしがまぼろしとして朽ちてゆくまえに
ここに降らせ

嘆きつづけた壁たち
立っていることに疲れ
人間の切ない祈りに耳澄ますことを止め
ヨーロッパの国境あたりの死の淵で
思い思いに倒れこむ

だが

こうして・・・
やがてよるもひるもめをさますだろう

0 件のコメント: