~写真集の編集プロセス~
まずテーマを決めます。と言っても、これは2ヶ月ほど前、写真集の構想が突如僕の内で閃いたその瞬間に決まってました。
1冊目は横位置だけの風景写真。
タイトルは『廻向』。テーマは〈移動〉もしくは〈この世の旅の終わり〉。
2冊目は縦位置と正方形、ブローニーの写真だけで纏めること。
テーマは〈美と光〉。タイトルは『奇蹟』。ふつーは「奇跡」跡の方を使いますが「蹟」。これは若い頃に熟読した中上健次の小説タイトルがヒント。サブタイトルとし「Lumière(リュミエール)」フランス語で光の意。そもそも写真の始まりは1825年にニセフォール・ニエプスが成し遂げたもので、密か彼に敬意を表して。
横位置の写真と縦位置、そして正方形の写真とではそれぞれ趣きや視覚的な印象が変わり、これは見る側の心にまで作用します。
写真集のテーマ、主題をタイトルにより明確にしておくことの利点は、その言葉の標識によって脇見への誘惑が抑制されるから。
もちろん写真集のテーマ、主題とは、そもそも僕の生のテーマなので、すでに撮影された写真の中に含まれていますが、膨大な写真の中から写真集の主題と的確に響き合う写真のみをグイグイ選別する助けとなってくれます。
写真を撮り出してまだ間もない頃に、僕が影響を受けた写真家は皆、被写体との出会いを求め、ひたすらに歩き続けた散歩の達人たち。僕もそれを真似、気がつけばそれが自分の主の撮影スタイルになっていました。
そして30年以上撮り続けて、その果ての果て、そこで出会ったモノ、そこで感じたこと、さらに教えてもらったこと、この2冊の写真集には、初期中期の頃の写真は一切出てきません。15年ほど前から現在に至るまでのこの15年間に撮られた写真だけで纏めます。
2024.8.17
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