2025/02/17

堀内幹の「カゼノチ」


 

この楽曲「カゼノチ」は、堀内幹のレパートリーの中では珍しくインストゥルメンタル音楽となります。

この作品で彼が使用した楽器は、アコースティック・ギターをサワリ付きフレッドレスに改良した彼自らの手によるオリジナル弦楽器ですが、彼はこの楽器を"無間棹"と命名しています。

どこか異国の響きを放つ民族楽器のようでもあり、調性を目指した西洋の楽器が切り捨ててきた掠れ音や奇妙な倍音、息切れの音や摩擦音、濁音など、いわゆるノイズと呼ばれている音や響きを積極的に取り返そうとしているかのようです。


これまでこのブログで堀内幹の歌、その歌詞が描く世界像について僕が感じたことを書いてきましたので、西洋のアコースティック・ギターだけでは表せない音や響きを強く求めた彼の指向性、その聴感の質や幅については言わずもがな。


ちなみにこの「カゼノチ」は、スタジオでの1発録りですが、アイヌの歌い手・床絵美がコーラスとして参加しています。曲の始まりと終わりの方にNYでフィールドレコーディングされた環境音が入っていますが、それ以外はすべて彼が弾く1本の無間棹と彼の声のみで構成され、出現した音響世界です。

 

堀内幹『one』リマスター 

 

(このブログ内の堀内幹ラベル

 

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