〜ブックデザインについて〜
本の装丁、写真集の表紙、中のレイアウト等は、僕がアイデアだけ出して、あとはカミさんにお任せします。
ブックデザインや本の体裁は、こだわろうと思えばいくらでもこだわれるのですが、予算の都合上、高級志向はほぼ放棄。
たとえば、写真が印刷される紙はマットにするのか、それとも半光沢?その紙の種類は?質感、手触り、厚さは?ブックカバーは付けるのか?箱入りの豪華本にするのか、思い切って桐の箱に入った写真集は?と、キリがありませんが、今回の僕の2冊の写真集に関して言えばそれはあまり本質的なことではなく、逆に、与えられた条件下でどうやったら効果的なモノを作り出せるのか、そのイメージの到来に心開いている方が面白い。
ちなみに世の中のパッケージデザインに触れてひどく感心したことが2度ほどあります。
ひとつは、ニューヨークに住んでいた頃、友人の奥さんを通じて「ティファニーブルー」を始めて目にした時。
2度目は、カミさんの友人からのフランス土産アラン・デュカスのチョコレート、ロゴがデボス加工されたピエール・タションのパッケージデザインに触れた時。
この2つは、いわゆる本の装丁、ブックデザインではありませんが、中身、内容、意味を包み込む身体、入り口やドア、お店の看板に相当すると言う意味では同じこと。素晴らしい仕事、感覚だなぁと感嘆しました。
友人や仕事仲間、理解者からの寄付金を募り、今回のような形で写真集を作らせていただくのは、これが最初で最後となりますが、写真集の内容が内容だけに、またその経緯ゆえ、装丁とかパッケージデザインという外装、外ズラにこだり過ぎるのはちょっと違う、カッコ悪いなと感じるのは、たぶんに10代の頃に聴いていたロック音楽の影響によるもの。
確か70年代後半のカリフォルニアを舞台にしたアメリカ映画の中に、ときおり新聞配達員が新聞の束をドサっと玄関先に投げ込む、朝の訪れを伝えるシーンがあります。早朝の柔らかな空気と瑞々しい朝日が射す庭付きの一軒家が立ち並ぶ長閑な通りを、新聞配達員が走りながら、郵便ポスト下の芝生の上に小気味よく新聞を放り投げるシーン。日本では見かけない光景ですが、そんな潔さで、皆さんの元へ2冊の写真集が届けられたら「なんかいいなぁ」と、勝手に思っています。
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